皆さん、こんにちは。高橋です。

今回は、「リモートワークで生まれる組織課題とその解決策」についてブログを書きたいと思います。

近年、働き方改革の文脈でリモートワークは徐々に浸透しつつありましたが、今回のコロナショックによって、多くの会社で半強制的かつ不可逆的にリモートワークへの移行が進展しました。実際、先日弊社で開催したセミナーに参加頂いた企業様の約50%が、7割以上の社員でリモートワークを実施しているという状況でした。

 

このように、リモートワークが本格化し始めた状況において、多くの企業がそのメリットとデメリットを感じているのではないかと思います。そのため、世間で出回っているリモートワークの表面的なTIPSに終始するのではなく、組織課題の本質を捉えて、それを組織の仕組みで解決していくことが、企業には求められています。

 

以下、リモートワークが今後も一層していく中で、どのような組織課題が生じていくのか、そして、それに対してどのように対処していくべきなのかについて、お話ししていきたいと思います。

 

リモートワークが引き起こす組織課題とは?

リモートワークが進展すると、それに伴って2つの事象が生じます。それは、「コミュニケーション量の低下」と「コミュニケーションの質の低下」です。

前者の「量」に関しては、現実問題、対面の時と比較して、絶対的な会話量が少なくなりますし、例え極力オンライン上での会話を増やしたとしても、視覚や聴覚を通じて“感じ取っていた”情報量は必然的に低下してしまいます。

また、後者の「質」に関しては、オンラインという環境ゆえに、相手の様子や反応から正しく状況を認識することが難しくなりますし、コミュニケーションの行き違いが起こりやすくなります。

 

そして、このような、リモートワークによって生じるコミュニケーションの「量」と「質」の低下という事象は、

  • 「働きやすさの問題」
  • 「働きがいの問題」
  • 「パフォーマンスの問題」

という大きく3つの組織課題を生じさせます。

まず「働きやすさの問題」とは、チームが共通の目的・目標に向かっている感覚が薄くなる、自分の意見や考えを気兼ねなく話すことができなくなるなど、チーム内での相互理解や信頼関係という点において、働きやすさが低下していく問題です。

次に「働きがいの問題」とは、業務やチーム内での行動において、自分への期待を感じにくくなる、自分の業務や成果について、社内で称賛される機会が少なくなるなど、自分の貢献や成果の実感という点において、働きがいが低下していくという問題です。

最後に、「パフォーマンスの問題」とは、自分の出す成果やアウトプットが不明確になる、自分の業務に対して、十分なフィードバックが貰いにくくなるなど、生産性高く、求められる成果を出すという点において、パフォーマンスが低下していくという問題です。

では、このような組織課題をいかにして解決していけば良いのか、その具体的な手法について、これから説明していきたいと思います。

リモートワーク時代の組織課題を解決する具体的な手法とは?


リモートワークによって生じる組織課題を解決するには、3つのポイントがあります。

以下が全体像になりますが、順を追って説明していきたいと思います。

リモートワーク時代の組織課題を解決するためのアプローチ全体像

Point1:組織文化の醸成 〜行動ルールを通じた文化の規定

最初のポイントは、過剰な管理をしないでも、社員一人ひとりが自律的に機能していくような“強い文化”を創り上げることです。

リモートワーク環境下では、ややもすると、徹底した時間管理や業務監視体制など、社員の管理強化に走りがちです。しかし、過剰な管理は社員のモチベーションを低下させてしまうだけでなく、どこまで管理しようとしても管理しきれないというのがリモートワークの実情です。

そうであるならば、過剰な管理に邁進するのではなく、管理せずとも社員が自律的に機能することを可能にするような組織文化を醸成するべきということになります。

 

では、このような組織文化はいかにして創られるのでしょうか。

まず、ここでは前提として、組織文化は、日常的な行動や言動の積み重ねによってしか形成されないということを認識する必要があります。

つまり、リモートワーク時代においては、オンライン上での社員一人ひとりの行動や言動が、これからの組織・チーム文化を創り上げていくということです。

 

そして、このことを理解した上で、「働きやすさ」「働きがい」「パフォーマンス」を維持・向上させるべく、自分たちが理想とする組織の“あるべき文化”を描き、それを達成するための社員の行動を促していきます。

社員の行動を促す際には、「ルール」「基準」「リーダーの率先垂範」という3つのポイントを押さえることが重要です。

「ルール」に関しては、あるべき組織文化に繋がる行動を促進するルールを規定します。この際、全ての行動をルール化するのではなく、文化に直結する行動をルール化するという点に留意します。

「基準」に関しては、一度行動の基準が下がってしまうと、それがルールや文化になってしまうため、ルールや文化を形骸化させないためにも、行動の基準は高く保つということです。

「リーダーの率先垂範」に関しては、リーダーがルール・基準を最も徹底するという姿勢を貫くということです。したがって、裏を返せば、リーダーが守れないルールや基準は設定しないとも言えます。

 

このように、日常の行動を導くルールを設定し、その実行基準を高く保ちながら、それをリーダーが率先垂範していくことが、あるべき組織文化の醸成に繋がっていきます。

リモートワーク下でも目指す文化に繋がる行動ルール例

 

Point2:マネジメント機能の変革 〜スパンオブコントロール

2つ目のポイントは、マネジャーの役割を現場リーダー層に移譲してくような、マネジメント機能の変革です。

 

ここでは、まずスパンオブコントロールという考え方が重要になりますので、それについて説明していきたいと思います。

スパンオブコントロールとは、マネジャー1人が直接管理できる部下の人数のことで、一般的には57人が適切だと言われていますが、業務の幅や質、人材レベル、サポート体制によってその範囲は変動します。

そして、このリモートワーク時代においては、先述したコミュニケーションの「量」と「質」の低下が生じているため、スパンオブコントロールが必然的に低下することが予想されます。

このようなスパンオブコントロールの低下は、最終的には1人のマネジャーが担う役割が大きくなりすぎてしまい、マネジャー機能の崩壊をもたらします。

 

したがって、マネジャーの1つ下の層である「現場リーダー層」にマネジャーの役割を移譲して、マネジメント機能を変革することが求められます。

この際、現場社員の混乱を招かないためにも、役割・責任の曖昧化やダブルスタンダードには留意して、リーダーの権限・責任を明確化することが何よりも重要です。

具体的には、マネジャーが「方向付け」と「ゴール設定」に責任を持ち、リーダーはその「具体化」と「実現」を推進します。(下記図参照)

リモートワーク下であるべきマネジャーとリーダーの役割定義

このように、マネジャーのスパンオブコントロールが減少するリモートワーク時代には、マネジャーの役割を現場リーダー層に移譲して、組織としてマネジメント機能を変革することが大事になります。

 

Point3:ルールや仕組みへの落とし込み 〜等級制度と評価制度

最後のポイントは、チームリーダーに求める要件を、等級制度や評価制度といった社内の人事制度に落とし込むということです。

 

というのも、マネジャーからチームリーダーへマネジメント機能の移譲を進めていくと、チームリーダーに対する期待と現行の人事制度との間にギャップが生じてしまいます。

このような状況では、チームリーダー層の等級制度や評価制度に対する不満が募り、彼らのモチベーションに支障をきたしてしまいます。

 

したがって、チームリーダーへの期待と現行の人事制度とのギャップを埋めるべく、場合によっては経営メッセージなども取り込みながら、等級制度と評価制度について、維持すべきことと変更すべきことを見直す必要があります。

下記図が、人事制度を見直す際の一般的な論点になりますので、参考にしてみてください。

人事制度見直しの論点

 

このように、マネジャーからチームリーダーへ権限移譲を行う際には、それに合わせて、チームリーダーに対する役割期待を組み込んだ人事制度を再考することが重要になります。

以上が、リモートワークによって生じる組織課題を解決する具体的な手法になります。

 

さて、今回のブログでは、COVID-19の影響下において、半ば強制的にリモートワーク化が進展していくであろうという状況を踏まえて、リモートワークによって起こりうる組織課題とそれを解決する具体的な手法について、皆さんに情報をお届けしました。

誰も予測していなかったコロナショックという事態に直面している中で、それでも日々試行錯誤しながら、前向きに成長を模索している皆さんにとって、有意義な情報を提供できていれば幸いです。

 

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