こんにちは。早川です。

先日行われたテニス全仏オープンで激闘を見せてくれた錦織選手。
今回は、そんな錦織選手の姿を見ながらふと考えた「企業スポンサーとブランディングの在り方」について書いてみたいと思います。
 

スポンサーの種類
まず、大まかではありますが、スポンサー契約には3つの種類があります。

1.所属契約
選手は必ず所属団体名称と共に紹介されるので、一般的には最も宣伝効果が高いと言われています。
錦織選手の場合は、日清食品です。

2.用品サービス使用契約
メーカーが用品・サービスを無償で提供して「選手に使って頂く」かわりに「契約料」を払うものです。
錦織選手の場合は、ウィルソン、アディダス、ファーストリテイリング、森永製菓、ジャガー、タグホイヤーです。

3.ウェアロゴ契約
練習ウェア、ゲームウェア等へのロゴ掲載の契約です。
錦織選手の場合は、ファーストリテイリング、日清食品、森永製菓、リクシルです。

ここで注目したいのが、ウェアのロゴです。

錦織選手がウェアを着ている写真を検索してみると、以下のような露出がされていることがわかります。
■日清食品・リクシル→”コーポレートロゴ”を露出
■ファーストリテイリング・森永製菓→”プロダクトロゴを露出”(ユニクロやウイダー)

余談ですが、フェデラー選手やシャラポワ選手の写真を検索すると、ナイキのロゴ(ウェアの刺繍)以外掲載されていません。これは、用品サービス使用契約を結んでいるナイキが選手に高額の契約金を払う代わりに「デザインを阻害するような他ロゴ掲載」を禁止していることに起因します。


スポンサーロゴを考える
さて、錦織選手の話に戻りますと、
この”ウェアのロゴ露出の仕方”から、各企業のブランドに対する考え方が読み取れます。

まず、スポンサー戦略において「コーポレートブランド」を前面に打ち出していく場合の、一般的な企業特性は以下の通りです。

①商品特性が比較的近い多数のプロダクトブランドを保有している
日清食品は、カップヌードル・チキンラーメン・どん兵衛・ラ王等、インスタントラーメンカテゴリで多数のプロダクトブランドを保有しています。リクシルは、窓シャッターの商品ブランド(エルスター・サーモス)・玄関ドアの商品ブランド(ジエスタ・リシェント)等があり、こちらも多数のブランドを保有していることがわかります。

多数のプロダクトブランドを保有していても、それぞれが顧客に伝える価値に一貫したもの・近いものがあれば、それを束ねるコーポレートブランドを高めていくことが効率的に機能するというわけです。反対に、顧客価値が全く異なるプロダクトブランドを多数保有している場合は、それを束ねるコーポレートブランドを高めることは効率的に機能はしにくく、個別のプロダクトブランドを高めていく方が有効です。

②コーポレートブランドを軸とした拡張戦略を重要視している
リクシルは、米国の大手トイレメーカー北米部門の買収など、海外企業のM&Aやアライアンスを積極的に推進しています。一方で、日清食品は「カップヌードル」というプロダクトを軸に据えた海外進出が中心であり、このポイントには当てはまらないかもしれません。

③早いサイクルの新製品開発(ブランド名変更が伴う)が要求される
リクシルは、窓シャッターの商品ブランド名を、リニューアルやM&A・アライアンスに伴い変更をしているようです。日清食品はこちらにも該当しません。

次に、「プロダクトブランド」を重視する場合の一般的な企業特性では以下の通りです。

①少数の戦略的メガブランドを保有している
ファーストリテイリングはメガブランド「ユニクロ」を、森永製菓はスポーツ領域商品のメガブランド「ウイダー」を保有しています。勿論、森永製菓にはお菓子カテゴリで様々なプロダクトブランドが存在していますが、錦織選手のウェアスポンサーということを考えると、スポーツ領域の「ウイダー」に特化した露出が妥当だと考えられます。

②プロダクトブランドのポジショニング戦略を重要視している
詳細は割愛しますが、「ユニクロ」「ウイダー」共にグローバルの各エリアにおいて、ポジショニングは綿密に練っています。
そして日清食品もこのポイントに該当していると考えます(海外展開しているのが、ほぼ「カップヌードル」であるため)。

③早いサイクルの新製品開発(ブランド名変更が伴う)が要求されない
「ユニクロ」にも「ヒートテック」や「エアリズム」等は存在しますが、その名称は変更されませんし、ジーンズはどの商品も“ユニクロ”のジーンズ。パーカーはどの商品も“ユニクロ”のパーカーであり続けます。また、「ウイダー」はどのプロテイン・タブレット・ゼリーも、多少の味の変更があっても、ブランド名変更が伴うことはありません。

上記の様に考えてみると、個人的に錦織選手のウェアを見て思う事は、「日清食品はコーポレートロゴを露出し続けるべきなのか?」「プロダクトブランドの露出も有効ではないか?」ということです。

有名なP&G社の事例(日本では商品宣伝の最後には必ず社名を出し、世界では商品名に加えて会社名を出すことはしない)が引き合いに出される様に、「日本企業はコーポレートブランドを大切にし、欧米企業はプロダクトブランドを大切にしている。」「それが、日本企業らしいブランディングの文化・伝統である。」と言われればその類でもあるかもしれませんが・・・。

テニス観戦中にふと気になったこのテーマ、またの機会に改めて深く考えてみたいと思います。

 

最後に、プロダクトブランドの話に触れたので、ひとつご紹介させてください!

弊社はコンサルティングを生業にしていますので、いわゆる”パッケージ化”された商品は少ないですが、数少ない商品(プロダクト)として、ブランド浸透度調査「BranDoctor」を保有しています。

「ブランドを創り出す主体である、従業員へ着目していること」
「ブランドビジョン・コンセプト等を実現するために必要な、アクションに繋がる課題抽出が可能であること」
「ブランド浸透度を、定量的に測れること」

などの特徴がある調査です。

おかげさまで「株式会社フォワード」というコーポレートブランドの認知は少しづつ拡がってきておりますが、これからはプロダクトブランド「BranDoctor」をもっと皆様に認知して頂けるよう、サービスの充実に努めて参ります!