こんにちは。インターンの中園です。
私がアメリカに留学していた時、The・Most・恋しかったものは、つけ麺でもなく技術の高い日本の美容院でもなく、

お風呂でした。

-15℃にもなる真冬にシャワーのみ。忍耐力が身につきました。今回はそんな『お風呂』から始まる、サッカーチームのブランディングのお話です。
 ブランディングについて知るべく、ブランドコンサルティング会社・株式会社フォワードの社長、且つカンボジアンタイガーFCのオーナー兼選手でもある加藤明拓にインタビューをしました。

加藤(以下K)「そもそもブランドの語源は、家畜の牛に押していた焼印(burned)のことなんだよ。焼印で他人の牛と区別してたんだよね。」

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K「吉野家も立派なブランドだからね。安い・早い・美味いで他の飲食店と区別できるでしょ。誰に、どう思われるか。これで他と区別することがブランディング。」

さて、ここでお風呂の話に戻りますが、お風呂と聞いて思い浮かぶJリーグのチームはどこですか?おフロですよ?

一つしかないですね。もちろん川崎フロンターレです。

2009年、川崎フロンターレは市の活性化を目的にした"いっしょにおフロんた~れ"を始めました。(「風呂⇔フロンターレ」は私が考えた洒落ではないということです)

簡単に言うと、川崎市のお風呂に行こう!という銭湯の利用促進です。例えば、中村憲剛選手がこんなことをしていました。

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↑おフロんたーれ企画のキャラクター、オフロンスキー

サッカー選手、ピッチ外でも体をはります。これ以外にも、私の好きな映画「テルマエ・ロマエ」とのコラボもあり、2011年に川崎の銭湯利用者は前年比3倍になったそうです。

川崎市民の私が全く知らないところで、そんなことが起きていたんですね。

フロンターレが、川崎市の銭湯利用を促進する
     ↓
フロンターレファン(多くが川崎市民)が川崎市の銭湯に行く
    もしくは
銭湯利用者がフロンターレに興味を持つ
     ↓
川崎市が盛り上がる!

これの、どこがどうブランディングなのか。

誰に、どう思われるか』という視点で考えると、川崎市民やフロンターレファンに「フロンターレは川崎市に根付いているチームだ」と思われることになります。

『川崎市に根付くチーム』として他のチームと区別しているわけです。

K「Jリーグが推進してきたこともあって、この地域型が最も多いブランディングの型だね。」

地域型とは、その地域在住者や出身者をターゲットにし、結果的に地域に愛着や誇りを持たせるブランディングの型です。

フロンターレが勝てば、『このチームは私の生まれた/住んでいる地域のチーム!』という誇り、例え負けても『でも頑張ってるフロンターレがある川崎がやっぱり好き』という愛着心を持ってもらうことです。

この地域型、もう少し幅を広げて見てみると、日本代表が挙げられます。日本代表チームは地域型の最たる例です。

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日本という地域に住んでいる人に、日本への愛着心と誇りを持たせるチーム。

例え彼らが
負けて、

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負けて、

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負けたとしても、

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日本人としてのプライドがあるから、私たちは日本代表を応援しますよね。

「渋谷のパブリックビューイングで代表戦見る!」というミーハーに思われがちな多くの人にも、根底には日本人としての意識が強くあるのでしょう。

地域型のJリーグチームの『地域の幅』が広がったものが日本代表ということです。

K「Jリーグのほとんどが地域型だけど、他には、都心型、グローバル強化型、グローバルインバウンド型があるかな。」

”都心型”と”地域型”を比較すると、これら二つがより分かりやすくなるかもしれません。

都心型。その名の通り、東京や大阪、名古屋など都心部にあるチームのブランディングのことです。(と言っても日本は東京に一極集中なので、大阪と名古屋を含めるのは微妙なところですが)

都心には、他の地域で生まれた人が多く集まってきます。そこで生まれたわけではないので、住んでいる都心部への愛着心は強くはないでしょう。

私も名古屋に生まれ、現在は川崎市に住んでいますが、「川崎が大好き!」と思ったことはありません。

また、テーマパークやゲームセンターなど、都心部でのエンターテイメントは山ほどあり、スポーツ観戦はその中のたった一つに過ぎないのです。

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そんな都心にあるチームのポイントは、

『他のエンターテイメントにはないスポーツのワクワク感
『世界のスター選手を見る喜び』
『出身地がばらばらな人たちに、スポーツを通した一体感

を味わってもらうことで区別をすることです。

地域型と都心型、例えば川崎フロンターレとFC 東京は別のブランディングをする必要があるということです。

現在はFC東京も西東京という意味での地域型になってますが、よりポテンシャルの大きい都心型のブランディングにチャレンジしてほしいな、と個人的には思います。

そして、ほぼ地域型しかない現在のJリーグの状況はリーグ発展の課題の一つである、と加藤は言います。

K「地域型クラブが悪いんじゃなくて、都心の人口や経済ポテンシャルを活かしたアジアや世界で戦える都心型クラブができることで、リーグはもっと活性化するだろうね。あのスター選手を観てみたい!ということで新規観戦者の獲得に繋がるし、東京のクラブには負けない!というようなことで地域型のクラブも盛り上がる」

K「例えば、セレッソ大阪のフォルラン獲得は失敗だったと言われるけど、あのおかげでJリーグのメディア露出も増えたし、セレッソのアウェイ戦では、フォルラン見たさに数千人単位で観客数が増えた。セレッソ単体では赤字になってしまったかもしれないけど、リーグ全体で見ればメディア露出や新規顧客の獲得という意味では元は取れていたんだね。リーグもフォルラン獲得に際してはお金を出したと言われてるしね。」

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出身地に関係なく誇れるクラブや話題になるクラブを目指さないということは、確かにJリーグ全体のファン獲得の幅を狭めているのかもしれません。

■地域型ブランディングと都心型ブランディングの比較
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しかし、更にJリーグや日本サッカーを発展させるために必要なブランディングの型があると加藤は言います。それがグローバル強化型です。次回のコラムでは、この「グローバル強化型」についてお伝えします!