確実な変化のために絶対に必要なのは、現状と目標の数値化

こんにちは、執行役員の岡田です。

前回書いた『「組織文化は変えられない」は本当か』というコラムの詳細は、是非本編をお読みいただきたいのですが(笑)、結論としては、組織文化は変えられます。正確には、組織文化とは普遍的なものではなく状況に応じて変えるべきもの。確実な変化を導くためには、組織のBefore⇨Afterを明確にすることが大切だということをお伝しました。

Before⇨Afterを明確にするにあたっては「数値化する」という手法が主流ですが、なぜ数値するのでしょうか。今回は、組織文化を変えるにあたっての数値化について考えてみたいと思います。 

目標を「数値化する」という点では、スポーツ選手の幼少期の作文がわかりやすい事例です。プロゴルファーの石川遼選手は小学校の卒業文集で「将来の自分」というタイトルの作文を寄せています。その中身を一部抜粋すると・・・

二年後…中学二年生 日本アマチュア選手権出場。
三年後…中学三年生 日本アマチュア選手権(日本アマ)ベスト8。
四年後…高校一年生 日本アマ優勝、プロのトーナメントでも勝つ。
六年後…高校三年生 日本で一番大きいトーナメント、日本オープン優勝。
八年後…二十歳 アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝。

これを目標にしてがんばります。最後のマスターズ優勝はぼくの夢です。それも二回勝ちたいです。みんな(ライバル)の夢もぼくと同じだと思います。でも、ぼくは二回勝ちたいので、みんなの倍の練習が必要です。

結びには、こんな言葉まで。 

ぼくの将来の夢はプロゴルファーの世界一だけど、世界一強くて、世界一好かれる選手になりたいです。

小学6年生で「プロゴルファーになる」という夢を持つこと自体素晴らしいのですが、どのタイミングで・なんの試合で・どのような結果をおさめるのかまで、詳細に描いていることがわかります。まさに、数値化と近い考え方です。

数値化をすることは、数値そのものが大切なのではなく、目標が達成された状態(After)を具体的にブレイクダウンすることにより、取るべきアクションが明確になるという意味があります。
図1_ブログ用
図1_ブログ用

組織文化を変革させる、具体的な3つのステップ


組織文化に置き換えるとどうでしょうか。

ポイントは3点あります。まず1点目は、Before⇨Afterを明確にすること。これは最優先事項であり、数値で設定することが重要です。サーベイなどを用いて数値化することで、「その状態に到達したのか」「どの程度変化したのか」が明確になるからです。ただし、残念ながら設定の仕方に正解はありません。事業戦略によって、Afterは異なるからです。私たちもGo Forward Surveyという組織文化調査を持っていますが、まさにBeforeAfterを数値化して明らかにすることに活用しています。BeforeAfterの差が明確に示されることが、組織文化を変革させる第一歩であり、最も重要です。

実際に数値でBefore⇨Afterを設定した後、2点目は、その状態をどのように言語化し発信するのかです。例えば、最近では経営テーマに「チャレンジをしよう」「主体性を持とう」と掲げる企業は多いですが、自社におけるチャレンジとは何か、主体性とは何かまで明確にした上での言葉ではないため、耳障りのよさだけが残ります。自分たちはどうありたいのか。多少尖った言葉だったとしても覚悟を持って表現することで、自分たちの言葉になるとも言えます。

また、発信においては、「社内の口癖を変えていく」レベルのコミュニケーションをデザインすることです。社長が発信するメッセージには必ず、その言葉を織り込み、上司とメンバーの会話では、その言葉が交わされるように目標などに組み込む。総会などの節目のタイミングだけでなく、日常のコミュニケーションの中で口癖になるほど流通させることを目指していくこと。「もう十分伝えている」と感じている経営者の方は多いと思いますが、実際は社員まで伝わっていないことがほとんど。「管理職で止まってしまっていた情報を、いかにメンバークラスまで届けるのか」「儀礼的だったコメントから、いかに伝わるメッセージへと改良するのか」など、社長のメッセージ発信ひとつを取っても、できることはたくさんあります。

ちなみに、Afterからひもづく会社のメッセージや事業方針について話し合う場を設けることも、効果があります。メンバー本人はそういった場を期待していないことが多い一方、会社のことを具体的にイメージすることで、より的確にメッセージを受けとることが可能になる。つまり、メッセージの受け手側を鍛えるという意味で効果がある施策です。

3点目は、仕組み化です。変化を定着させるために、評価や目標設定などのルールを設計することは大切です。ですが、ここで重要なのは、仕組み化は最後に行う施策だということ。意識的に行っていた行動が無意識で行えるようになることこそが組織文化とすれば、エドガー・H・シャインの考えを借りれば、「意識的に行動をしているタイミングにこそ仕組みを整えていくことが重要」だと言えるからです。

図2_ブログ用

ここまでお伝えしてきて思うことは、組織文化を変えることは簡単ではないということ。組織の「当たり前」を変えていこうとするわけですから、時間も労力もかかります。ですが、覚悟を持って、方法を理解して手順を推し進めることができれば、変化を手に入れることはできるということも、改めて、自信を持ってお伝えしたいと思います。