宮里藍、そしてタイガー・ウッズなど、多くのトッププレイヤーから支持を受け、長きに渡って日本のゴルフ業界を牽引してきたブリヂストンスポーツ。しかしゴルフ人口の減少など市場環境が大きく変化する中で、ブランド戦略の抜本的な見直しを敢行。「マーケットはどのように変化しているのか」「自分たちのブランドが持つ変わらない強さ・魅力はなんなのか」。過去の成功パターンに縛られず本音で語られたことで動き出した、ブランド変革ストーリーをブランド戦略ユニット課長の堀井氏に聞いた。

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右:ブリヂストンスポーツ株式会社 販売企画本部 ブランド・コミュニケーション戦略部 ブランド戦略ユニット  課長 堀井 大輔氏
左:株式会社フォワード マネージャー 齋藤 雅英
※2018年12月時点

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会社概要

ゴルフボールやゴルフクラブ・ゴルフウェアなどのゴルフ用品をはじめ、テニスラケット・テニスボールなどテニス用品の製造・仕入れ・販売を行う。また、イベントやスクールの企画・運営も手がける。

プロジェクトのテーマ

1. TOUR B ブランドのコンセプト再構築
2.管理体制構築

ブリヂストンスポーツ様_事例プロジェクト全体像

一人ひとりを取りこぼさないワークショップで、『自分ごと化』に成功

齋藤雅英(以下、齋藤):『TOUR B』を立ち上げたのは2016年、そして我々にご相談をいただいたのは2年後の2018年だと記憶しています。

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堀井大輔氏(以下、堀井氏):そうですね。2年間の間にも試行錯誤を重ねて取り組んでいたのですが、新ブランドに対して社員がしっかり反応できているかというと、そうではありませんでした。

「次世代アスリートゴルファー」というコンセプトに対して、例えば商品企画やプロモーションなどのマーケティングの仕事に対してどう接続し、具体的にどう動いていいのか分からないという状況だったと思います。現場との接続部分を強化したいという思いから、フォワードさんのお力をお借りしました。

齋藤:具体的には、約20名の皆さんに対して全5回のワークショップを実施していくわけですが、初回のワークショップで、想定していたよりも根本的な問題に直面しました。

堀井氏:そうですね。各商品企画品種のキーマンとなるブランド担当課長を中心にした20名ほどを集めましたが、1回目から、具体的な生の現場の声で議論がなされました。「本当にこのターゲットなのか」「であれば本当に差別化はできるのか」。それにより、ブランドコンセプトを再度捉え直すステップをはさむことになりました。

齋藤:当初の想定では、1回目のワークショップでコンセプトについての現状認識を合わせた後、2回目以降に各々の具体的な業務の中身に接続していく予定でしたが、ブランドコンセプトに対して納得感を持つことを重視したんですよね。

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5回のワークショップの参加者は固定で、毎回同じ20名。キーマンを選んでいただいたらこの数になったということもありますが、ファシリテーターとして登壇していた弊社のコンサルタントが各グループの議論にしっかり関わることを前提とした数でもありました。

堀井さんをはじめ事務局の皆さんとも協力しながら、参加者の発言内容や参加姿勢をきちんと把握したこともポイントではないでしょうか。一人ひとりがどのようなマインドで参加しているのか、その後担当部署に戻った際にネガティブな影響を及ぼすようなしこりを残したままでワークショップを終えていないのかなど、かなり細かくケアをしていったという特徴がありました。

実際に、納得できていないのではと見受けられる参加者に対しては、堀井さんが個別に「あの場面どう思った?」としっかり本人が腹落ちするように、サポートしてくださっていましたよね。

堀井氏:そうですね、1回目・2回目のワークショップは比較的静かだったと思いますが、ワークショップ外の時間で「ここの部分が腑に落ちなかったな」「実はこう思ってる」という自発的なコメントを受けるようになりました。
そこで、「フォワードさんのワークショップだけで時間が足りないなら、別場でも議論したらいいんじゃない?」という流れが生まれ、元々社内有志で行われていた会議体の場を活用し、分科会を実施するようになりました。

齋藤:ワークショップでは一人ひとりに目を配るものの、時間は限られていますからね。本質的に大事なことを繰り返し何度も伝えられたことも良かったですし、地道で丁寧な活動の積み重ねで、皆さんが自主的な議論をする場が生まれたことが何よりも大きかった。分科会の場は、皆さんが前向きな議論をする土台になっていたと思います。

堀井氏:ワークショップ自体も一方通行なプレゼンテーションの場ではなく、参加者自身が考え議論する時間が多くあったことが良かったと思います。「なぜお客様は自社ブランドを選んでくださるのか?(=ベネフィット)」「ベネフィットをもたらす各商品における事実や根拠は?」「既にある資産で、活かすべきものは?」などの問いに対して、率直な意見交換がありました。

齋藤:当事者意識や自分ごと化というのは常に課題に上がるものですが、これはトップが旗振りをするだけでは実現しません。ブランドというのは概念であり言葉。だから、それを知るだけでは意味がなくて、「ブランドを自分の業務にしたらどういうことなのか」というところまで接続する必要があります。

突きつけられたデータ分析結果。再確認した自分たちの強み

堀井氏:フォワードさんがサポートくださった、ユーザーデータの客観的な分析もまた、参加者の自分ごと化に大きな影響があったと考えています。もともと、ユーザーに対して定期的にアンケートを取らせていただいているのですが、今回は『TOUR B』ブランドの見直しという大きな出来事もありましたので、ターゲットやコンセプトの要素も入れてアンケートを実施しました。

齋藤:そうですね。ブリヂストンゴルフが好きだというユーザーに対して、ブリヂストンゴルフに対するイメージを聞くことはもちろん、競合ブランドが好きなユーザーはそのブランドに何を求めているのかなどを聞きました。3回目のワークショップで、分析結果を共有したんですよね。

堀井氏:もちろん耳の痛い話もありながら、客観的なデータなので、真摯に受け止めざるを得なかったと思います。何よりも、勝手な自分たちの現場感覚で戦略を決めるのではなく、正確にマーケットを捉えて、戦略を考える機会になりました。
もともとゴルフファンの「よりゴルフが上手くなりたい」という気持ちに応えたいということがベースにある会社。もちろんデザイン性も高めていく努力はしていますが、その根本的な想いの部分を大切に、自信を持って行こうということを再確認する場にもなりました。

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これから取り組みたいのは、社員のさらなる『自分ごと化』と、ファンづくり

齋藤:全員が現状を理解し、『TOUR B』ブランドに向き合い進むというベクトルは揃った状態だと思いますが、今後さらに強化したいテーマやクリアにしたい課題などはありますか。

堀井氏:内向けと外向けにそれぞれあります。まず内向けからお話しすると、やはり自分ごと化についてです。きっかけは十分で、既にみんなの中に種はありますが、これを継続してより強くすることを目指したい。であれば、もっと仕掛けていかなければいけないと思っています。今の状態は、ようやく船出をしたくらいだと認識しているので、この種火を絶やさないようにしたい。

外向けについては、『TOUR B』の独自性をどうやって知ってもらい、共感してくれる人を増やしていくのか。この手段をもっともっと考えないといけないと思っています。
『TOUR B』の認知はまだ広がっていないので、まず知っていただくこと。そしてその先に体感していただいて、好きになっていただくこと。これらに挑戦していきたいと思っています。

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齋藤:ファンづくりですよね。具体的なファン向けのサービスはありますか。

堀井氏:会員の方向けのイベントですが、秩父にあるテストレンジに、抽選で選ばれたお客様をお呼びする、ボールフィッティングというものを開催しています。普段では見られないテストレンジならではのデモンストレーションや、当社契約プロも使っているデータ計測をしながら「あなたに合ったボールをフィッティング」させていただきます。手前味噌ながら、参加くだされば必ず、我々の良さをわかっていただき、ファンになってくださるんですよ。

参加者の皆さんの目が輝いているのがわかりますし、イベント後にわざわざ感激をメールにして送ってくださる方も多く、大変嬉しく思っています。こういったお客様の顔を見ることができると、改めてブランドの良さをしっかりと伝えたいと思います。
そのためにも、ブランドは人がつくっていくものだということを肝に銘じてこれからも取り組んでいきたいです。

齋藤:今年展開するドライバーやバッグなどのデザイン会議へも、ブランドを一気通貫させる立場として、フォワードは参加させていただきました。ブランドの背景と未来を理解している者として、『TOUR B』のあるべき姿にリンクさせて、各品種のデザインを見ていけたことはありがたい機会でしたし、ブランドを体現した商品たちがお客様にどんな風に受け止められるのか、楽しみにしたいと思います。

 

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